コラム
めっき発注で失敗しないために。見積もり前に確認すべきこと
めっき加工を依頼する際、見積もり金額や納期を確認することはもちろん大切ですが、それだけで発注を判断すると、後から仕様の確認や条件の見直しが必要になる場合があります。
めっき加工では、同じ処理方法であっても、製品形状や要求膜厚、めっき範囲、数量などによって、加工上の確認事項が異なります。
特に、パイプや袋構造品、複雑形状品では、外観だけでは分からない内面や凹部の品質確認が必要になることもあります。
見積もりを依頼する段階で必要な情報を整理しておくことは、加工会社との認識違いを防ぎ、発注後の手戻りを減らすことにつながります。
この記事では、めっき発注時に起こりやすい認識違い、見積もり前に確認したい情報、加工会社への相談で注意したいポイントについて解説します。

目次
めっき加工の発注で認識違いが起こるのはなぜか
めっき加工の発注では、処理方法が決まっていても、それだけでは加工条件を十分に確認できない場合があります。
例えば、同じ電気亜鉛めっきでも、製品の形状や寸法、要求される膜厚、めっきを施す範囲によって、加工上の確認事項は変わります。
平板のような比較的単純な形状と、凹部や穴の多い複雑形状品では、膜厚の付き方や品質確認のポイントが異なるためです。
また、図面と見積もり依頼時の説明に相違があると、加工会社が想定していた条件と、発注側が求めている仕様に違いが生じる可能性があります。
例えば、製品全体へのめっきを想定していたものの、実際には一部にめっきを施さない指定箇所がある場合、加工方法や対応可否の再確認が必要になることがあります。
こうした認識違いを防ぐには、見積もり金額や納期だけでなく、どのような製品に、どの範囲まで、どのような品質が求められているのかを明確にしておくことが大切です。

めっき仕様が不明確だと見積もりにどう影響するのか
めっき加工の見積もりを依頼する際は、製品図面とともに、めっき仕様や品質要求を整理しておくと、加工可否の確認が進めやすくなります。
まず確認したいのは、めっき種と要求膜厚です。
亜鉛めっき、亜鉛ニッケル合金めっきなど、処理方法によって皮膜の特性や加工上の確認事項は異なります。
要求膜厚が定められている場合は、その数値だけでなく、どの部位に適用される条件なのかも共有しておくことが大切です。
次に、めっき範囲の指定です。
製品全体への処理なのか、一部を除外する必要があるのかなど、指定されためっき範囲を図面上で明確にしておくと、加工会社との認識違いを減らせます。
さらに、材質、製品形状・寸法、後加工の有無、ロット・数量、希望納期なども、見積もり時に共有しておきたい情報です。
また、製品の支給状態や荷姿、梱包・納入方法に指定がある場合は、あわせて共有しておくと、より具体的な見積もり条件を整理しやすくなります。
こうした情報を事前に共有することで、加工会社が必要な工程や確認事項を整理しやすくなり、見積もり条件を具体的に検討できます。
見積もり後の手戻りにつながりやすい3つの確認漏れ
めっき加工の見積もりでは、必要な情報を共有していても、指定内容の解釈や加工条件について認識違いが生じる場合があります。
特に注意したいのは、めっき範囲・要求膜厚、後加工、数量・納期条件の3つです。
1.めっき範囲・要求膜厚の指定が曖昧
例えば、製品全体へのめっきを想定して見積もりを進めたものの、実際には一部にめっきを施さない指定箇所がある場合、加工方法や見積もり条件の再確認が必要になることがあります。
また、要求膜厚の適用箇所について発注側と加工会社の認識が異なると、品質確認の対象部位について追加のすり合わせが必要になる場合があります。
2.後加工の情報が共有されていない
めっき後に曲げ、かしめ、組付けなどの加工を予定している場合、その情報が見積もり段階で共有されていないと、後から加工順序や品質への影響を確認する必要が生じます。
特に、めっき前後のどちらで加工するかによって確認事項が変わるため、見積もり後の条件変更につながる場合があります。
3.試作数量・量産数量・納期条件が不明確
試作数量だけを伝えて見積もりを依頼したものの、その後に量産数量や納期条件が明らかになると、設備・工程での対応可否や生産計画を改めて確認する必要が生じる場合があります。
試作と量産では数量や生産条件が異なるため、想定している生産段階や数量条件を共有しておくことが大切です。
こうした認識違いによる手戻りを防ぐためにも、見積もり段階で発注側と加工会社が仕様や条件について認識を合わせておくことが重要です。
複雑形状品の見積もりで追加確認が必要になるケース
パイプや袋構造品、細径・長尺部品、凹凸の多い製品などでは、一般的な単純形状の部品とは異なる確認が必要になる場合があります。
電気めっきでは、製品形状によって膜厚の付き方が変わるため、凹部や奥まった部分、内面などでは、形状や寸法によって要求膜厚の確保が難しくなることがあります。
そのため、複雑形状品の見積もりでは、設備に収まるかだけでなく、指定されためっき範囲や要求膜厚に対して、どのような確認が必要になるのかを整理することが大切です。
ダイワエクセルでは、長年にわたり自動車用燃料パイプ内面の亜鉛めっき加工に取り組み、内面めっきに関する技術や品質管理のノウハウを培ってきました。
また、亜鉛めっきや亜鉛ニッケル合金めっきについて、製品形状に合わせた専用治具の検討・開発を行い、パイプ内面・外面や複雑形状品への加工に取り組んでいます。

自動車関連部品で培った品質管理の経験を活かし、製品図面やめっき仕様、要求膜厚、品質要求を確認したうえで、当社設備・工程での加工対応を検討しています。
複雑形状品のめっき加工については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
複雑形状品のめっきはなぜ難しい?膜厚ばらつきの原因と確認ポイント
まとめ
めっき加工の発注では、見積もり金額や納期だけでなく、製品図面、めっき仕様、要求膜厚、めっき範囲、数量、後加工の有無などを事前に整理しておくことが大切です。
特に、めっき範囲の指定や加工順序、試作・量産条件に認識違いがあると、見積もり後に追加確認や条件の見直しが必要になる場合があります。
また、パイプや袋構造品、複雑形状品では、形状や寸法によって膜厚確保が難しくなる箇所があるため、要求される品質をもとに加工可否や確認事項を整理する必要があります。
ダイワエクセルでは、自動車向け燃料配管部品で培った技術力と品質管理ノウハウを活かし、亜鉛めっき・亜鉛ニッケル合金めっきや複雑形状品への加工に取り組んでいます。
めっき加工の見積もりや加工可否について確認したい場合は、製品図面、めっき仕様、要求膜厚、品質要求などをご提示のうえ、お問い合わせください。
